塩分制限4-7gの実践法
PKD患者が教える無理なく続ける減塩生活のコツ
はじめに
こんにちは。臨床工学技士として医療現場で働きながら、多発性のう胞腎(PKD)患者として治療を続けている者です。現在、私は1日の塩分摂取量を4-7gに制限した生活を続けています。
塩分制限と聞くと「味気ない食事」「続かない」というイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし、正しい知識と工夫があれば、無理なく美味しく続けることができます。今回は、私の実践方法と医学的根拠を交えながら、効果的な減塩生活のコツをお伝えします。
この記事で分かること
- • 1日4-7g塩分制限の具体的な実践方法
- • 味噌汁・スープを避ける医学的理由
- • 朝・昼・夜の実際の食事内容
- • 塩分と心臓・腎臓負担の関係
- • 無理なく続けるための実践的なコツ
なぜ塩分制限が必要なのか?
心臓への影響
塩分を多く摂取すると、体内の水分量が増加します。血管内の水分量が増えることで、心臓はより多くの血液を拍出する必要があり、心臓への負担が増加します。
腎臓への影響
塩分の過剰摂取は腎臓に負担をかけ、PKD患者の場合は病気の進行を促進する可能性があります。また、高血圧の原因となり、腎機能をさらに悪化させるリスクがあります。
塩分→水分→血液量→負担増加のメカニズム
医学的根拠
日本高血圧学会では、高血圧や腎疾患患者に対して1日6g未満の食塩制限を推奨しています。PKD患者の場合、腎機能保護と血圧管理の観点から、さらに厳格な制限が有効とされています。
私の1日の食事内容
朝食
0.05g
0.05g
約0.1g
朝食はほとんど塩分を摂取していません。バナナとヨーグルトは栄養価が高く、カリウムも豊富で体内のナトリウム排出を助けます。
昼食
2.5g
2.0g
2.0-2.5g
自作弁当では調味料を控えめにし、野菜中心の内容にしています。コンビニ食品を選ぶ際は、栄養成分表示を必ず確認します。
夕食
2-4g
調味料は控えめ
2-4g
夕食は比較的自由に食べていますが、調理法を工夫し、だしや香辛料を活用して塩分を控えめにしています。
1日の総塩分摂取量
目標の4-7g以内を達成
味噌汁・スープを避ける重要な理由
汁物の塩分量(1杯あたり)
1.2-1.5g
一般的な家庭の味噌汁1杯分
1.0-2.0g
コンソメ、中華スープなど
5.0-8.0g
全量摂取した場合
1.5-2.5g
1食分パック
なぜ汁物は塩分が多いのか?
汁物では塩分が水分に完全に溶け込んでいるため、気づかないうちに大量の塩分を摂取してしまいます。
固形の料理と違い、汁物の塩分は視覚的に判断しにくく、ついつい飲み過ぎてしまいます。
汁物は短時間で摂取するため、大量の塩分が一度に体内に入ります。
私の実践:汁物カット効果
味噌汁を1日2杯飲んでいた頃と比較すると、汁物をカットすることで1日約2.5-3gの塩分削減に成功しました。これだけで目標値に近づくことができ、他の料理で多少の塩分を摂取しても余裕が生まれます。
無理なく続ける減塩のコツ
だしとうま味の活用
- • 昆布だし、かつおだしを効かせる
- • きのこ類でうま味をプラス
- • トマトの自然なうま味を利用
- • 煮干しや干しエビで風味づけ
香辛料と香味野菜
- • にんにく、生姜で風味アップ
- • ハーブ類(バジル、オレガノ等)
- • こしょう、七味唐辛子で刺激
- • ねぎ、みょうがで香りづけ
酸味の効果的活用
- • レモン汁で爽やかな酸味
- • 酢を使った料理(酢の物等)
- • ゆず、すだちの香りと酸味
- • トマトの自然な酸味を活用
調理法の工夫
- • 焼き目をつけて香ばしさを演出
- • 蒸し料理で素材の味を活かす
- • オリーブオイルでコクをプラス
- • 食材の食感を楽しむ調理
買い物・外食時のコツ
買い物時
- • 栄養成分表示を必ず確認
- • 「減塩」「無塩」商品を選択
- • 加工食品は避けて新鮮食材を
- • 調味料は少量サイズを購入
外食時
- • ドレッシングは別皿で
- • スープや汁物は残す
- • 単品料理を組み合わせる
- • 事前にメニューの塩分をチェック
継続のための心構え
完璧を求めすぎず、「今日は少し多めだったから、明日は控えめに」という柔軟な考え方が大切です。週単位で調整し、長期的に目標値を維持できれば十分です。味覚は2-3週間で慣れてくるので、最初の期間を乗り越えることがポイントです。
カリウムで塩分対策
カリウムの働き
カリウムは体内のナトリウム(塩分)の排出を促進する重要なミネラルです。腎機能が正常な場合、カリウムを多く含む食品を積極的に摂取することで、塩分の害を軽減できます。
PKD患者への注意
腎機能が低下している場合、カリウムの摂りすぎは危険な場合があります。必ず主治医と相談の上、適切な量を摂取してください。
🍌 果物
- • バナナ(1本: 360mg)
- • アボカド(1/2個: 400mg)
- • メロン(1/8個: 350mg)
- • オレンジ(1個: 300mg)
🥬 野菜
- • ほうれん草(1束: 690mg)
- • トマト(1個: 290mg)
- • じゃがいも(1個: 410mg)
- • かぼちゃ(100g: 430mg)
🥛 その他
- • ヨーグルト(1カップ: 200mg)
- • 牛乳(1杯: 150mg)
- • 納豆(1パック: 330mg)
- • 昆布(5g: 300mg)
塩分制限の効果実感
数値的改善
🩺 血圧管理の重要性
ADPKD患者にとって血圧管理は腎機能保護の要です。目標は130/80mmHg未満とされています。
実際の血圧測定結果:120/81mmHg – ADPKD患者の適切な血圧管理の実例
私の血圧管理体験:
診断後、家庭血圧測定を習慣化しています。この測定値(120/81mmHg)は、
運動と食事管理により維持できている良好な状態です。
安定化
軽減
少なく
140前後で安定
生活の質向上
- • 夜間の頻尿が軽減
- • 朝のむくみが少ない
- • 体が軽く感じる
- • 食材本来の味を楽しめる
- • 料理の工夫が楽しい
まとめ
1日4-7gの塩分制限は、正しい知識と工夫があれば無理なく続けることができます。特に味噌汁やスープ類を避けることで、大幅な塩分削減が可能になります。
成功のポイント
-
汁物を控える -
だしとうま味を活用 -
香辛料と酸味で風味づけ
-
栄養成分表示を確認 -
完璧を求めすぎない -
医師との相談を継続
PKD患者として、また医療従事者として、同じ境遇の方々の参考になれば幸いです。塩分制限は大変ですが、確実に体への負担軽減につながります。一緒に無理なく続けていきましょう。
塩分制限の内容は必ず主治医と相談の上で実践してください
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