透析患者の医療費負担制度完全解説






透析患者の医療費負担制度完全解説 – 実際の自己負担額と制度併用効果



透析患者の医療費負担制度完全解説

実際の自己負担額と制度併用効果【詳細調査版】


著者:45歳でADPKD診断を受けた臨床工学技士による詳細調査レポート

はじめに

透析患者の医療費負担について、「所得のある人は月額数万円も支払うのか?」という疑問を受け、詳細な調査を実施いたしました。全腎協などの公式情報を基に、実際の自己負担額をご報告いたします。

透析医療費は確かに高額ですが、複数の制度を適切に併用することで、患者の実際の負担は大幅に軽減されます。本記事では、収入別・制度別の具体的な負担額を明確に解説いたします。

透析医療費の基本情報

制度適用前の医療費

  • • 血液透析:月額約40万円
  • • 腹膜透析:月額約30-50万円
  • • 年間:約360-600万円
  • • 3割負担:月額12-18万円

制度適用後の実際の負担

  • • 最小負担:月額5,000円程度
  • • 一般的負担:月額1万円
  • • 高所得者:月額2万円
  • • 年間負担:6-24万円程度

主要な医療費軽減制度

1. 特定疾病療養受療制度

高額療養費の特例として、透析治療の自己負担に月額上限を設定

自己負担上限額(月額):

  • • 一般所得:月額1万円
  • • 高所得者(標準報酬月額53万円以上):月額2万円
  • • 医療機関ごと・外来/入院別に適用

2. 自立支援医療(更生医療)

身体障害者手帳取得者の透析医療費を1割負担に軽減

負担軽減内容:

  • • 原則:医療費の1割負担
  • • 所得区分別の月額上限額設定
  • • 低所得世帯:月額5,000円程度
  • • 「重度かつ継続」による経過措置適用

3. 重度心身障害者医療費助成制度

各自治体が独自に実施する医療費助成制度

助成内容(自治体により異なる):

  • • 身体障害者手帳1・2級(一部3級)対象
  • • 医療保険自己負担分を助成
  • • 東京都「マル都」:月1万円を限度に助成
  • • 入院時食事代助成の自治体もあり

身体障害者手帳の等級と透析患者

等級 判定基準 透析患者の該当例 主な助成制度
1級 透析を受けていて、かつ全身状態が極めて不良 透析+重篤な合併症 障害年金1級、各種医療費助成
2級 人工透析を週3回以上継続して受けている 一般的な透析患者 障害年金2級、重度医療費助成
3級 腎機能が著しく悪い(Cr.Cl≦20ml/分) 透析導入前の末期腎不全 一部自治体で医療費助成対象

制度併用による負担軽減効果

制度なし

月額12-18万円

健康保険3割負担

特定疾病制度のみ

月額1-2万円

所得に応じた上限

制度併用

月額5千円-1万円

複数制度活用時

収入別・制度別の実際の月額負担額

収入区分 特定疾病制度のみ +自立支援医療 +重度医療費助成 年間負担目安
低所得世帯
(住民税非課税)
月額1万円 月額5,000円 月額0-5,000円 年額0-6万円
中間所得世帯
(年収300-600万円)
月額1万円 月額1万円 月額1万円 年額12万円
高所得世帯
(標準報酬53万円以上)
月額2万円 月額1-2万円 月額1-2万円 年額12-24万円

重要なポイント

  • • 透析患者は通常、身体障害者手帳2級を取得可能
  • • 複数制度の併用により、最大で月額5,000円程度まで軽減
  • • 自治体により制度内容が異なるため、居住地での確認が必要
  • • 食事代や一部検査費用は別途負担の場合あり

地域別制度の違いと注意点

東京都の例

  • • 「マル都」制度:透析医療費月1万円まで助成
  • • 「マル障」制度:重度障害者医療費助成
  • • 制度併用で実質月額1万円以下
  • • 入院時食事代助成あり(一部)

一般的な自治体

  • • 重度心身障害者医療費助成制度
  • • 所得制限の有無が自治体により異なる
  • • 助成範囲(入院・通院・薬代等)に差
  • • 一部負担金の設定も地域差あり

注意が必要な点

  • • 制度適用は透析開始後からが原則(導入前手術等は別扱い)
  • • 65歳以上の後期高齢者医療制度移行時に制限される場合あり
  • • 年収や世帯構成による所得制限の詳細確認が必要
  • • 申請手続きを忘れると制度適用されない

まとめ:透析患者の実際の医療費負担

調査結果のポイント

  • • 制度未適用:月額12-18万円の高額負担
  • • 特定疾病制度:月額1-2万円に軽減
  • • 制度併用:月額5千円-1万円まで軽減可能
  • • 年間負担:6-24万円程度(制度活用時)

患者さんへのアドバイス

  • • 身体障害者手帳の早期取得を推奨
  • • 複数制度の併用申請が重要
  • • 居住自治体の独自制度を確認
  • • ソーシャルワーカーとの相談を活用

本記事は全腎協、調布東山病院等の公式情報を基に作成された詳細調査レポートです。
具体的な制度適用については、居住地の市区町村窓口にご相談ください。

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